日本共産党の井坂新哉です。私はお時間をいただきまして議案第129号横須賀市下水道条例中改正について質疑をさせていただきます。この議案は、これから常任委員会や分科会で、詳細に議案審査が行われると思いますが、料金の値上げという市民生活に直結した課題でありますので、市長、上下水道局長に基本的な問題についてこの場でお伺いさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
市長から提案のありました議案第129号横須賀市下水道条例中改正については、2014年10月から下水道料金を平均で17%値上げする内容のものです。
改定理由としては、維持管理費や企業債償還のための資金の確保と一般会計からの汚水処理にかかわる資本費への繰り入れ、いわゆる基準外繰り入れの軽減となっています。
私たちは、これまでも下水道事業における経営努力は認めてきたものの、市民生活が厳しい中で料金の引き上げにならないよう努力することを求めてきました。
まず、市長にお聞きしたいのは、下水道料金が値上げになることによる市民への影響についてです。
市民の所得については、前定例会の一般質問で論議したように、この15年間で約84万円もの所得が減となる一方で、増税や国保、介護、後期高齢者医療などの保険料が増えるという状況で大変苦しい状況となっています。さらにこれからは、来年4月に消費税の増税とそれに伴う各種料金の値上げなどが続きます。このような市民生活にかかわる負担増が続く状況を市長はどのように捉えておいででしょうか、お聞かせください。そして、このような状況の中ではできるだけ、市民負担を増やすことは避ける必要があると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
今後の下水道料金の値上げによる市民への影響ですが、来年4月には消費税が8%に値上げになる予定です。条例では、消費税は自動的に引きあがる仕組みになっていますので、これによって、おおよそ平均的な下水道使用水量である20㎥で比較すると現在の1,995円よりも一か月で57円の値上げになります。来年10月に下水道料金の値上げとなると一か月で2,398円となり、現在よりも403円の増、再来年2015年10月には消費税が10%になる予定ですので、ひと月2,443円となり、現在よりも448円の増となります。また、今の比較は使用水量が20㎥で計算していますが、1世帯当たりの人数が多い、子育て世代などの負担額はより大きくなると思われます。市長は今度の下水道料金の値上げに対する負担増についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
私は、市民の負担が増え続けている状況を考えれば、下水道料金を値上げしない、もしくは値上げするにしてもどれだけ市として負担を軽減するために努力するかという課題があると思います。
そういった観点から次にお聞きしたいのは、今回汚水処理にかかわる資本費に対する一般会計からの繰り入れ、市は基準外繰り入れと言っておりますが、この率を現在31%だったものを26%とし、5%の削減をしようとしています。
私の調査では、繰り入れを1%減らすと約5200万円の繰り入れの減額となるとのことですので、これだけでも年間2億5000万円以上の減となります。企業会計の原則から汚水負担分をすべて使用料で賄いたいとはいえ、先ほど述べたような市民生活にかかわる負担増がのしかかるときに、一般会計の繰り入れを減らすことが本当に妥当と言えるのでしょうか、市長のお考えをお聞かせください。
基準外繰り入れについて言えば、前回使用料改定を行った平成8年では35%の繰り入れをしていました。それを平成20年から少しずつ減らしてきています。私はこの基準外繰り入れを当初の35%にまで戻せば、今回提案のあった負担増から約5億円もの使用料負担の軽減になると思いますので、私は引き下げるのではなく、35%まで繰り入れを増やすべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
今回の使用料改定によって年間どのくらいの使用料の増収になるかの試算を見ますと、平成26年では、半年分なので約4億4600万円、平成27年では9億7400万円、平成28年度では9億6300万円、平成29年度では9億4100万円となっています。使用料の増額は約10億円弱ということを考えれば、一般会計の繰り入れを減らさなければ、相当な負担を軽くすることにもなります。市長はこのような状況をどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
次に基準外繰り入れと基準内繰り入れの考え方についてです。
一般的に、雨水は一般会計負担、汚水は使用料などの企業会計負担として、汚水処理にかかわる資本費に対する一般会計からの繰り入れを基準外繰り入れとしています。
しかしそもそもその区分けにも疑問が残るところです。
例えば、これまでも指摘してきましたが、平成17年から9年間の継続事業で行ってきた合流改善事業は総事業費約80億円ですが、今まで雨水と汚水が一緒に処理場に入ってきたものを汚水と雨水に分けて、汚水だけを処理しようとする事業です。
この事業は閉鎖水域である東京湾の水質改善のために行われる事業であり、純粋な水質改善のための環境対策事業です。これにより、下水を排水している一般家庭には直接的なメリットはありません。こういう環境対策事業は純粋に一般会計で行うことが妥当であり、この事業への資本投入は一般会計で行うべきと思います。
このような論議は国でもされているところでありますので、環境対策事業としての合流改善事業を一般会計負担とすると料金の値上げは必要ないと思いますが、上下水道局長はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
本来は、閉鎖水域での水質改善となれば、東京、神奈川、千葉にまたがる事業となり、本来は国費で行うような性質のものです。市としてもこれを市費負担とするには多大な費用が発生するので、単純に一般会計で持つとは言えないことはわかりますが、国に対してしっかりと意見する必要があると思います。国に対する働きかけについての上下水道局長のご見解をお伺いいたします。
次に、今後支出が増えると想定されています維持管理費の増について伺います。維持管理費が増額される要因を見ますと、電気代など動力費の増、そして修繕費の増が挙げられます。
とりわけ、修繕費の増加はとても重要な内容です。これまで、維持管理費を抑制するために、必要な修繕を先延ばしにする対応が迫られ、もう施設維持のために修繕費をこれ以上抑制することはできない状況になっています。その関係で、私が注目するのは一般会計からの繰入金を平成20年から1%ずつ段階的に減らし、現在は基準外繰り入れを31%に削減してきました。その削減額は約6年間で合計9億円以上の繰り入れを減らしてきています。これらのお金をしっかりと修繕費に充てていればこのような状況にはならなかったのではないかと想定できます。これまでの財政運営の課題が、今後修繕費を大幅に膨らませている原因になっていると考えられますが、市長、上下水道局長は、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。
私は、前回の定例会の一般質問において、吉田市長になってから臨時財政対策債を満額発行せずに、市民サービスに使えるお金を使ってきていないと指摘させていただきました。3年間で19億円もの支出を抑えてきたつけがこういうところに波及しているのではないかと思いますので、市長のお考えをお聞かせください。
さて、一般会計からの繰入金は下水道だけでなく特別会計などもありますので全体的状況を見ますとものすごく増えているとは言えない状況になっています。その年により繰り出し金の総額は10億円単位で変化しますので単純に比較できませんが、ここ10年の比較でみると一番多かったのが、平成24年度の184億4923万円で、2番目に多かったのは平成16年の177億6076万円、その次が平成17年の177億826万円です。一般会計からの繰入金の特徴を見ますと、平成24年度は、国保の繰り入れが7億円増えたことが大きな要因となっています。繰り入れの内、毎年増えているのが、社会保障関係で、平成16年度よりも約43億円の増となっています。これは、介護保険事業の増加、後期高齢者医療保険制度のスタートなど法で定められた市の負担分が増加したことが要因と考えられます。一方、下水道事業会計への繰り出し金はどうかと見ますと、平成16年に約79億7000万円でピークとなり、現在では、約45億円と30億円以上も減っている状況です。
これは、資本費平準化債の発行や下水道の普及がほぼ終わった状況が表れていると思います。
一般会計の繰り入れについて市長はどのように分析をされているのでしょうか、お聞かせください。そして、下水道事業会計への繰入れが減少している状況についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
最後に、下水道事業の今後の見通しについてです。現在下水道事業は、今後ますます対象地域を拡大し、下水管をどんどん敷設しなければいけないという時代ではなく、人口減少に合わせて、規模をどのように縮小しながら、これまでの施設を維持管理していくかというように変わってきています。
これまでの下水道事業を拡張するまでのいろいろな状況の変化の対応という面でどうだったかという検証も必要ではありますが、現段階でどう将来予測していくかが重要です。
今後の予測として注目したいのは、基準外繰り入れについてです。下水道の拡張の時代と違い、これからは企業債を発行しての施設整備は計画的に行えば、極端に増加するとは言えないと思います。そうすると企業債の償還にかかわる繰り入れも繰り入れる率は変わらなくても、金額でみれば、今後繰り入れる対象となる償還費が減少してくることを考えれば、基準外繰り入れも減少していくことが予想できます。
実際、収益的収支にかかわる企業債償還費の割合もどんどん減少してきて、元利償還費も年々減少している状況で、償還額のピークもすでに過ぎ、今後は償還費も抑えられると考えられます。
短期的には資金不足になっても数年間持ちこたえれば、経営状態の改善が見受けられるのであれば、料金値上げをしないという判断もできると思いますが、市長、上下水道局長としての将来予測をどのように持っているのでしょうか、お聞かせください。
今度の下水道料金の値上げは、端的にいうと、1つに下水道料金の収入が下がる。2つにこれまで先延ばしにしていた修繕に費用が掛かる。3つに一般会計からの繰り入れを少なくしたい。というものです。
下水道料金の収入が減るといっても、平成26年と平成29年を比較しても約2億円の減少。今回の改定で9億円以上もの歳入増を図る必要がそれだけでは見えません。
結局、一般会計の繰り入れが、今回の一番の中心問題であり、市の財政力をしっかり使えば、市民負担をもっと低減できるはずです。
私は、市民生活に影響を及ぼすこのような改定について、もっと市財政の活用を図ることが必要だということを述べて、第1問といたします。