日本共産党横須賀市議団

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議会での発言
2023年3月30日

2024年度予算案に対する反対討論(2023 3 24)

2023324本会議討論画像 井坂 (4)

三月定例議会最終日の本会議で行った、井坂なおし議員による討論全文です。

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日本共産党の井坂直です。会派を代表して市長から提出されました31議案のうち12議案について、反対の立場から討論します。

今回、小児医療費助成の対象年齢を18歳まで拡充したことは大きな前進であり、子育て世帯の経済的な負担の軽減につながるものです。また、ゼロカーボンシティの推進として学校や行政センターなどの公共施設に太陽光パネルの導入を進める取り組みには注目しています。

一方で賛成しかねる予算立てについて、以下問題点を指摘しつつ反対理由を述べます。

初めに議案第16号令和5年度横須賀市一般会計予算についてです。

まず、田浦保育園を民営化するとのことですが、逸見地域に続き、田浦地域からも公立保育園を無くすわけで、年々、公立保育園が姿を消していくのは、公立保育園再編実施計画策定時より反対してきた私たちの主張とは相容れぬものです。国の財政面からの誘導策に抗議しつつ、反対いたします。

また、田浦青少年自然の家を今年度で廃止して解体をすすめるとのことですが、その理由のひとつに、代替施設として長井海の手公園にキャンプ場を整備する方針が、それが本当に、青少年のための安価な利用という代替になるものか確信がもてませんので、反対いたします。

田浦青少年の家 画像 (1)

施設のありかたに関連して、FM戦略プランを進めていく姿勢が見受けられますが、今定例議会で顕著だったのは小学校とみんなの家についての請願が出たという点を受け止める必要があります。各論に入りこの時点で請願となったのは、まだまだ情報が行き届いていない、市民の疑問や不安に応えきれていないということだと思います。前市長の時に延べ床面積の縮減すなわち施設そのものの廃止とコストカットが独り歩きして、結果、失敗に終わりました。新年度をスタートさせるにあたりこの時の教訓を再度肝に銘じる必要性を訴えます。

田浦小 画像 (2)

市の行う事務については、まず自衛官等募集事務についてです。自衛官募集を目的にした個人情報の提供は、やめるべきであり、せめて、提供されたくない市民からの除外申請が認められるべきです。

松本市では、2023年度から、提供されたくない人への除外申請を受け付ける方針を明らかにしました。自治体が有する個人情報を外部に提供するには、法律による明確な要請が必要であり、自治体が自衛隊に個人情報を提供すること自体に問題があります。

また、個人番号カード交付事業についてですが、いわゆるマイナンバーカードの普及に血道をあげる国のやり方に従って行っていることに、承服できません。

代表質問でも取り上げましたが、マイナンバーカードと健康保険証との紐づけは、受診者や医療関係者を泣かせるものです。

ところで、カードは取得したものの、紛失したがどうしたらいいか、など、窓口に問い合わせてくる市民のかたも結構いらっしゃるという話も聞きます。窓口が混乱する要因の一つになっては、円滑な行政運営の足を引っ張るものになってしまいます。

また、業務の混雑が招くミスも心配です。最近では、ある自治体で、再交付の際にカードの申請者50名の氏名と住所が記載された帳票を誤交付するということも起きました。本市でも、申請スペースでの混雑を見るにつけ、間違いが起こるのは、よそ事とは思えません。

ですので、国の強引ともいえるカード交付事業がもたらす被害を思うにつけ、反対いたします。

また、デジタル化に関しては、システム標準化準拠クライアント環境整備として、今回4億円もの予算が計上されています。

これは、本市独自の業務システムを、国の標準仕様のシステムに移行するよう法律で義務づけられたことに対応するものです。国で選定した20業務のシステムが対象となっており、例えば、住民基本台帳・印鑑・戸籍附表・戸籍・国民年金の5業務のそれぞれのシステムを国が定めた住基系システムに一本化する、反対にこれまで一本化されていた住民基本台帳と国民健康保険を別々のシステムに分けるなどと、再編するものです。利便性を高めるためとのことですが、国の決めたシステムに地方自治体独自のやり方を、無理やり合わせることになるのではないか不安が生じます。委員会では、理事者側から、「枠をはめられるのは全面賛成ではない。一番心配なのは、国が、大変細かいことまで言ってきて、しかもお金は出さないこと、少なくとも標準化への移行のお金はしっかり出してほしい」と答弁の中で述べておられました。

標準と違うことをやろうとすればお金がかかってしまうから本市独自の施策はやらないでおこうと、本市独自の制度設計がゆがめられてはならないことから、賛成できません。

都市整備常任委員会分科会における質疑では、港湾計画の改定のための事業費1800万円余が計上されていますが、現時点で必要な土砂の確保の目処は立っていないことがわかりました。当初予定していた最短のスケジュールで事業を進めることができなくなったことからも、今後の社会情勢を踏まえたうえで計画改訂を進めることは困難である印象を受けました。

現在も土砂確保については、情報収集しているとのことですが、これまでの本市の港湾計画においては、人工島建設計画や大津沖のポートフロンティア構想、新港第2突堤計画など、社会情勢の変化を受けてやめた計画があります。昨年、大村洋子議員が質しましたが、慎重にあらゆる状況を見極める必要性があります。軍転法にもとづいて旧軍施設を港湾施設に転用することなど、財政的にも法的にも合致する手法を検討することをこの際、提案いたします。

また、都市部建築指導課職員を減らすことについては、行政サービスの質と量の低下を招くことにつながることを懸念します。複雑化・多様化する相談や適切な助言など、新築物件は減っているにもかかわらず建築指導のニーズが求められており、さらに法改正による条例改正手続きに忙殺されている現状があります。技術系職員の育成と確保なくして業務をすすめることはできず、多忙を極めることが容易に予測できることからも認めることはできません。

次に議案第17号国民健康保険費、議案第22号後期高齢者医療費についてです。

昨今の異常な物価高と下がる一方の年金とのはざまで引き下げこそ求められているものの、その対応が不十分です。

なかでも、子どもの均等割りに対する減免への踏み出しが見られませんので、反対いたします。

次に議案第19号介護保険費についてです。

支援1,2の認定を受けた人が介護予防プランにもとづく介護保険のサービスとして受けられる住民主体型訪問サービスについてですが、そのサービスを提供する住民団体への支援が最長6年で打ち切られることは、腑に落ちません。ゴミ出しや庭の草刈りなど、要支援のかたがたに頼りにされる訪問サービスを末永く取り組んでいただくためにも、相応の支援を続けることは不可欠だと思いますので、改善を求めつつ、反対いたします。

次に議案第25号病院事業についてです。

市民病院の医師数が、呼吸器内科は依然として常勤の医師がゼロの状態が続き、産科・婦人科でも2名の医師のうち一人が昨年7月末に退職してから医師確保のめどがたたないまま新年度に突入するとのことです。8月からのお産の取り扱いの休止が新年度も続くことになります。これでは、地域医療に責任を果たすべき市立病院の体制として欠けるものであり、反対いたします。

次に議案第33号コミュニティセンター条例中改正についてです。

これは、北下浦の老人福祉センターや青少年の家を廃止することになるものですが、それに替わる居場所が、無料のままで保障されるかどうか不透明ですので賛成できません。また、そのための手続きである32号指定管理者選考委員会等条例中改正についても賛成できません。

次に議案第27号、28号、41号については、職員、教職員の定数、給与等に関することとして一括して述べます。私たちは定数の削減や給与の減については基本的に認められないという立場です。その上で今回の提案について意見を述べます。職員定数については総じて増やす提案となっています。しかし、この間の組織再編の朝令暮改と言って過言でないような変更についてはいくら激動の社会情勢だと言っても、職員に大きな負担を強いていることは明らかだと思います。「変化を力に進むまち」と言っても、生身の人間が変化に対応するには大きなストレスが生じるということであり、私たちは今回の人事体制や給与体系の見直しに少なからず懸念を抱いています。国や県との関係で改正せざるを得ないという状況は存じていますが、事務量の多さの中で疲弊する職員の声も漏れ聞いておりますので、議案27号、28号、41号は認めることはできません。

次に議案第24号と25号、水道事業と下水道事業についてです。

電気料金の値上げにより、水道事業では2億6300万円・下水道では約6億円の増が見込まれており、大変厳しい経営が予想されますが、水と下水を止めることは避けなければなりません。自家発電の意味としてもゼロカーボン推進事業による太陽光発電設備を令和5年度に進める事業に注目をしていきます。しかしながら、国からの再エネ設備設置の補助が充当できなかったことが質疑で明らかになりました。結果的に自治体負担が増すことになり、使用料金値上げにつながりかねません。また、電気料金負担が大幅に増すことが容易に想像できるにかかわらず、上下水道インフラを守るための助成制度が国から示されないことは納得できません。国に頼れず、独自で再エネ導入を進めて、電気料金の経営負担も考慮しつつ、施設整備の維持に努めながら災害対応も講じるという令和5年度の上下水道事業全体を見ると厳しい状況であることは理解できます。ですが来月4月1日から水道料金と下水道使用料を値上げすることは、物価高騰による生活支援が求められる市民の暮らしを厳しくするものです。光熱費を節約するにも限界があります。少なくとも従来通りの逓増型料金体系のままであれば、石炭火力発電所稼働による事業者の水道料金を減額せずに、市民負担は軽減できたはずです。水道を使えば使うほど企業は水道料金が手ごろになりますが、その分のしわ寄せは市民に来るという料金制度は時代と逆行するものであり、認めることはできません。

物価高騰の厳しい影響を受けるなかで、市民の暮らしを支える予算か、福祉の充実がはかられているか、軍転法に基づいた基地のないまちづくりの方向性が示されているか、これらが予算審議における私たち共産党市議団の主眼です。いのちと暮らしを守る身近な自治体の姿勢が、今こそ問われていることを最後に訴えて、日本共産党市議団の討論とします。


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