日本共産党のねぎしかずこです。私は、発言通告に沿いまして、大きくは三つのことについて、市長・教育長にお尋ねいたします。
うちひとつめの小児医療費助成の拡大とふたつめの中学校完全給食の実現について私たち日本共産党市議団は、以前より、速やかに実現すべき課題だと訴えてまいりました。これらの実現を求める市民のかたからの請願や陳情に対しましても、署名議員となって議会で採択されるよう、力を尽くしてきたところです。
さて、6月に行われた今回の市長選挙において、これら課題がこれまでにもなく注目されるに至ったことは、その市民要求が、選挙の当否を争うほどの市民ニーズとなってきたということではないでしょうか。これら要求を実現してもらいたいという機運が市民のなかで高まっている今、市長は2期目でどう動いてくれるのか、推進する立場に立つのかどうか注目しておられる市民に、市長選挙後初のこの議会で明確に示すことが必要と思います。
まず、大きな1番目は、 小児医療費の無料化を拡充することについてです。
(1) 思いおこせば4年前、初当選となる際に訴えた市長の公約、当時、市長はそれを「マニュフェスト」と呼んでおられましたが、このマニュフェストに市長は「小児医療費の無料化を拡充します」と掲げられておりました。しかし、任期半ばでそのマニュフェストの見直しを行い、「拡充のあり方を検討します」と、明らかにトーンダウンさせました。そうかと思えば、小学校2年生まで引き上げると急きょ方針が変わり、来月からいよいよ実施されることになりました。さらに、今度の選挙時には、「小学校6年生まで」という具体的な学年まで示すに至っております。これは、どのような市長のお気持ちの変化からだったのでしょうか。それぞれの時点での思いを、順を追ってお示しください。
(2) ところで、選ばれるまち、横須賀へ〜 第2章の扉を開く政策集〜 に記された市長のこのたびの選挙公約と思われるものには、「「小6まで無料」となるよう、財政基本計画と連動させながら対象年齢を拡大する計画を立てます」と示されております。
ア この文言を私は、小学校6年生までという約束を果たすために市長任期の4年間のうちに最低でも小6まで達成する、と受け取りたいところですが、そう受け取っていいのでしょうか。確認させていただきます。
イ また、「小学校6年生まで」ということをしっかりと掲げ続けるならば、任期ぎりぎりではなく、できるだけ早めに小6まで達成したいという意思はあるのでしょうか。伺います。
ウ ただ、「財政計画と連動させながら、」という文言が入っておりますが、それは、どういうことを意味しているのでしょうか。全体の財政計画に割り込む余地があれば、ということなのか、私は、小学校6年生まで実施することを前提とした計画をつくることが市長の公約だと受け取りましたが、それで間違いはないのか、確認させてください。
エ 全体の財政計画に割り込む余地があれば、という前者の考えだとしたら、財政は何のためにあるのか、そして、市長は何のために存在するのか、問いたいと思います。すなわち、言うまでもなく、財政とは、市長として信託された公約実現のために用意されるべきもので、だから、そのために、予算を確保・編成する権限が市長には与えられているのです。たとえば、はじめに予算の編成方針を立てる際や、それに基づいて部局から上がってきた個々の予算を市長査定によって取捨選択する際にも、市長が、自身の公約が実現されるよう手を打っていく、そのようなことができる、しなければならない唯一の立場に就かれているのですから、やることを前提とした財政の編成をすべきと思います。財政を、小学校6年までを達成するという公約実現のためにどのように市長権限を行使して予算を確保しようとするのか、聞かせてください。
大きな2番目は、中学校完全給食の実施についてです。
中学校完全給食についても、市長の本気度が問われるところです。というのも、1期目の最後のほうになって市長はやっと、中学校完全給食に関する情報は集めると表明するに至ったものの、その先に進もうとしない、足踏み状態が続いているからです。なぜ本腰を入れて踏み込もうとしないのでしょうか。その主な理由を、市長は、財政が、財政が、と繰り返しています。しかし財政が云々という話をよりによって、予算編成権という絶大な権限を唯一握っている市長がするというのは、解せないことです。先ほども財政と市長とのあるべき関係を述べましたが、ならば、はばんでいるとおっしゃる財政、それを変える市長権限をどうして発揮しようとしないのでしょうか。政策実現の意思がないから、財政のせいにしているだけの話だと思います。
その一方で、選ばれるまち、横須賀へ〜 第2章の扉を開く政策集〜 に記された、市長の2期目の選挙公約において、「保護者のニーズに応えるために中学校の昼食対応は、スクールランチを利用しやすい制度へ改善します」とうたっています。中学校完全給食には一言もふれず、スクールランチのみの公約となっています。「中学校完全給食はできないけれど、弁当注文は改善するから、これで何とかがまんしてくれないか」と市長が言っているように私には聞こえました。中学校の完全給食に対する市民ニーズがあることは感じながらも、それを真正面から受け止めることはできないという狭間での、苦しい弁明にどうしても聞こえてしまうのです。
しかし、弁当注文をいかに改善しようと、基本的には弁当業者とそれを購入したい生徒の間を市が取り持つだけというその大枠を打破することは可能なのでしょうか。それがいかにもできるかのようにリンクさせて描く市長の打ち出し方に、私は正直、首をかしげざるを得ません。市長選挙時には他の候補が中学校完全給食の実現を訴えるという状況のなかで、選挙を勝ち抜くための打ち出しだったのではないかと思えるほどです。1割程度しか注文がない弁当注文を持ち出して中学校生徒全体の給食に関わる制度改革の期待を市民に抱かせたということであれば、本来の中学校完全給食を求める市民ニーズをはぐらかしてしまうことにもなりかねません。そこで伺います。
(1) 市長は、中学校完全給食のニーズがあることをお感じのことと思いますので、それを確かな認識とするため、生徒・保護者・職員にアンケートを取ってはいかがでしょうか。伺います。中学校完全給食のニーズ把握をこれまで実施しようとしなかった理由も合わせてお聞かせください。
(2) 「スクールランチを利用しやすい制度へ改善すれば、保護者のニーズに応えられる」とお考えでしょうか。また、どのような理由でそうなるのか、市長、お示しください。
(3) ところで、前回の議会において平成25年請願第2号「市立中学校における完全給食の導入について」の、教育福祉常任委員会での請願審査において、請願は不採択となったものの、当委員会では意見が付されました。すなわち、「執行部におかれては、中学校における給食のあり方について、市民のニーズを十分に考慮し、あわせて財政面の負担についても配慮しながら、完全給食の実施形態に関して積極的な検討を行うこと」という議会の意思が示されたのです。
ア このことを、どう受け止めたのでしょうか。市長ならびに教育長に伺います。
イ また、これは、言うまでもなく、「完全給食」についての検討についてであって、決して、スクールランチの改善や検討を求めたものではありません。「スクールランチの改善をやったからそれで終わりです。完全給食の検討に入るということではありません」というのでは、議会の意向や市民の要望をないがしろにするものです。スクールランチの改善より、まず中学校完全給食に本腰を入れるほうに力を注ぐべきではないでしょうか。市長ならびに教育長に伺います。
ウ 議会のこの投げかけに関しては、どこまで検討が進んでいるのでしょうか。以下、具体的にお示しください。市長ならびに教育長に伺います。
(ア)ひとつめには、他都市の状況調査について、インターネット上での情報収集だけのままであるならば、直接担当者と話をするなど、今まで以上に具体的に進めていく必要があるのではないでしょうか。伺います。
(イ)ふたつめには、完全給食の様々な方式における費用は、どの程度まで調査・算出が進んでいるのでしょうか。伺います
(ウ)みっつめには、今、小学校の給食施設の老朽化が課題となっていると聞いておりますが、この対応の際に、併せて中学校の分の給食も調理できるような整備をして親子方式を進めていくということも選択肢のひとつではないでしょうか。小中双方を同時に整備できる、財政的にも合理的な機会だと捉え直し、検討してみてはいかがでしょうか。伺います。
大きな3番目は、保育の質の低下を許さず、子どもの安全と発達のための環境が保障された認可保育所の整備を進めることについてです。
(1)横須賀市の保育所入所待機児童数は、平成22年度に39人と、30台にまで減少傾向が続いてきたところです。しかし、23年度35人、24年度36人、そして今年25年度は34人と、ここ数年は、30台半ばでの足踏み状態が続いています。年々、市内での保育環境が整備されてきたことは評価するところではありますが、子どもを預けて働き始めたいと思う人も増えてきており、それに対応できる分までには整備が追い付いていないこと、特に久里浜地域での待機児童の解消などが今後も課題になると思われます。
ア ところで、この待機児童数には、4月1日時点で親が育休中の子、特定の保育所だけを希望している子、親が自宅で仕事を探している子などが必ずしもカウントされておりませんので、実際の入所希望者数は、発表されているこの待機児童数の何倍にも膨れ上がるものになるのではないかと思われますので、さらなる整備が必要と思いますが、市長の整備方針をお示しください。
イ 保護者が求めるのは、子どもの安全と発達のための環境が保障された認可保育所の整備ではないかと思います。既存の認可保育園の老朽化に対応する建て替えや、津波の浸水地域に立地する保育園では防災面での充実も図ることも合わせて、認可保育所を整備していく方針をどのようにお持ちか、伺います。
(2)ところで、保育環境の整備については、今の国の動きが気になるところです。というのも、国では「子ども・子育て会議」が開かれており、7月末には保育所整備のあり方などを国が自治体に示す基本指針が了承されました。この基本指針の了承を受けて政府は(地方自治体向けの8月6日の説明会で)認定こども園への移行が「最良」と誘導しています。
しかし、保育所が認定こども園に移行すれば直接契約、個人給付の仕組みとなり、市町村が責任を負う公的保育の枠から外れます。増え続ける保育需要に対して、公費をなるべく支出しないで対応する仕組みではないでしょうか。また、子ども・子育て会議基準検討部会は(8月29日)、国が新たに支援しようとしている「小規模保育事業」(定員6~19人)について、保育従事者の半数以上が国家資格を持っていればよいとする認可基準を決めました。現行の認可保育所(定員20人以上)が全員有資格者とされているのに対し、きわめて低い基準となります。東京都が安上がりに済ませようと独自基準で整備してきた認証保育所でさえも、有資格者は6割以上とされています。
国は「待機児童解消加速化プラン」の柱の一つに小規模保育事業を位置づけており、有資格者を半数以上とする小規模保育事業には、認可外保育所が多く移行すると見込まれています。低い認可基準を国が新設し、保育の質の引き下げを後押しする形であり、国家資格である保育士を国自らが軽視することです。特に注意しておかなければならないと思うのは、待機児童の8割を占める0~2歳児の「受け皿」として小規模保育を位置付けていることです。小規模保育は、「多様な主体が多様なスペースを活用」するという考え方で、ビルの一室でも開業できるイメージです。 0~2歳児は、保育施設での死亡事故が圧倒的に多い年齢です。技術や専門性が求められる乳児保育の規制を緩めれば、子どもの命はますます危険にさらされるでしょう。
ア 以上、述べたように、保育の量的拡大を口実にして大幅な規制緩和を進め、保育を安上がりなものにしたいとの国の意向は、国民・市民の要求を逆手にとるもので、国のこのような意向に沿った形で「市町村子ども・子育て支援事業計画」が進められようとしていることは非常に問題だと、私は心配しております。市長はどのようにお感じでしょうか。
イ また、児童福祉法第24条1項にある保育に関する公的責任を形骸化してはならないと私は思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか、お示しください。