日本共産党横須賀市議団

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よこすかから平和を発信 原子力空母NO!
議会での発言
2021年10月5日

なぜ賛成?なぜ反対?その理由を明確に述べてから、採決に臨みました。

9月定例議会に市長から提出された補正予算議案や昨年度の決算議案について、それぞれの委員会で審査した後、本会議で、採決の前に、日本共産党の賛成討論と反対討論を行いました。

なお、その後の採決では双方の全議案が、「総員起立!」(全会一致)や「多数起立!」(賛成多数)で成立しました。

ーーーーー補正予算議案に対する討論(9月15日)ーーーーー

日本共産党の大村洋子です。

会派を代表して討論いたします。

議案第107号については賛成の立場で意見を述べ、議案第103号、104号、106号は反対の立場で意見を述べます。

はじめに議案第107号「地球を守れ 横須賀ゼロカーボン推進条例」制定についてです。この条例は今年1月29日の市長の「横須賀市ゼロカーボンシティ」の宣言に呼応したものであり私たちは大いに歓迎し、応援いたします。この条例のはじめには「地球を守れ」とあり市長も「不退転の覚悟で取り組む」とおっしゃっていましたので、その言葉に相応しい内容を期待するという意味で、以下、数点指摘をさせていただきます。まず、「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロとすることを目指す姿勢を示しました」とのことですが、明確に数値を示す必要があると思います。繰り返し申し上げてきたことですが、パリ協定の1.5℃目標が今や世界標準です。ここを明確にしない指針はそれだけで既に陳腐化していると言わざるをえません。そして、本市の条例ですから、久里浜の石炭火力発電所の現実に言及せずして、一般化することは許されません。審議会で石炭火力発電所が稼働した後の二酸化炭素の算入を巡って議論が曲折した感を覚えましたが、本市の目の前の現実から逃げることは市民に対して誠実とは言えず、前文に明記することが必要と思います。日本共産党も気候危機を打開する2030戦略を発表し二酸化炭素排出の削減はもちろんのこと、本気でこの気候危機を打開するためには省エネ、再エネの推進が必要と打ち出しました。気候問題はあまり悠長なことを言っていられません。「地球を守る」ということは「人類の生存を守る」ということでもあります。壮大な問題であると同時に日々の暮らしの問題でもあります。今回の条例についてまずは歓迎し、積極的に受け止め、さらなるブラッシュアップのため引き続き働きかけてまいります。

次に反対の立場で述べる議案についてです。議案第103号は一般会計補正予算についてであり、三つ述べます。一つ目は教育福祉分科会にかかりました(仮称)南こども園整備事業費として、測量調査及び地質調査の実施に要する経費計上についてです。私たち会派はこれまでも「公立保育園再編実施計画」に基づく集約統合の見直しを求めてきました。「市内それぞれの地域で長年築き上げてきた保育園との良好な関係を大切にするためにも、統廃合ではなく現在の場所で施設の建て替えをすすめていくことが、安心して子育てができ、地域づくりにつながる」と繰り返し述べてまいりました。

しかし市は森崎保育園とハイランド保育園、それぞれの現地建て替え費用を算出せずに、仮称南こども園一ヵ所、約12.6億円の概算事業費を示すだけでした。これでは現地建て替えの場合と集約統合の場合の、建設整備事業費の比較ができません。直近では利用定員95人の鴨居保育園が約4億9000万円で新築工事整備を進めてきました。このことから既存の2つの保育園を現地建て替えをした場合、単純計算ですが解体費用込みで9億8000万円で済むことになります。また、こどもの数という観点から見れば、仮称南こども園は定員160人に対して、それぞれ現地で建て替えるとするならば、森崎保育園90人・ハイランド保育園90人とあわせて180人のこどもが受け入れられ、統合するよりも20人多く受け入れることが可能となります。このように待機児童問題の解決を図る観点からも現地建て替えが望ましいと言えるでしょう。

「計画ありき」で保育園再編を進める姿勢を改める必要を訴えるとともに、関連する議案第106号 仮称南こども園設計事業者選考委員会条例制定についても反対いたします。

二つ目は都市整備分科会にかかりました長井海の手公園隣接地活用事業における繰越明許費の設定についてです。この事業はPark―PFI手法を用いてのものであり、当初からコンセプトじたいを認めていませんので、今回も反対といたします。

三つめは同じく都市整備分科会にかかりました芦名5号防波堤のマリーナ事業者への有償譲渡に関連しての議案です。佐島漁港芦名地区では昨年から度々無許可で消波ブロックが移設される、無許可で鋼管杭が打たれる、無許可で浮桟橋が設置されるという、法治国家にあるまじき違法行為の常態化となっています。水域占用の申請がされないまま前述の状況が続き過怠金が生じるケースは少なくとも5件は判明しています。市は繰り返し原状回復などの指導勧告をしてきましたが、未だに完遂されていません。行政が正式に指示書を出し指導しているのに、それに従わないとはどういうことでしょうか。このこと自体大問題です。

今回の議案となっている芦名5号防波堤の有償譲渡について考える際、この水域の静穏度という角度を時間軸をたどって考えてみたいと思います。振り返ると市は時間とお金と労力をかけ、この水域の静穏度を保つために、つまりはこの芦名地区の漁業振興目的のために、芦名3号、4号、5号の各防波堤を整備してきました。ところが、漁協はその後、2019年4月水域占用許可を得て8月には漁礁兼消波堤の工事を着手し完成させました。この漁礁兼消波堤の設置によって、水域の静穏度が保たれることとなりました。端的に言うと漁礁兼消波堤を設置することによって、各防波堤、とりわけ芦名5号防波堤は必要がなくなったということです。防波堤じたい必要がなくなったのですから、周りにあった消波ブロックの原状復帰も不要ということになります。市が長期にわたり計画し財源を確保して設置してきた防波堤があるにもかかわらず、漁礁兼消波堤を自らが設置し、そのことによって水域の静穏度が保たれ、市の防波堤は必要なくなったのだから、今度は譲渡してくれというのはあまりに虫が良すぎるのではないでしょうか。ましてや、芦名5号防波堤の鋼管杭を抜いて原状回復するようにと再三指導勧告を受けているにもかかわらず、未だに従っていません。やるべきことをやっていないのに譲渡を要望してくるとは、厚顔極まれりと言わざるをえません。しかも、このような相手に渡った防波堤が正当に維持管理されるとは思えませんし、防波堤に付随する特別な権益が生まれることも想像に難くありません。法や条例には抵触しないから、むしろ維持管理に負担のある防波堤は手放したほうが市にメリットがあるというようなご都合主義で、相手かまわず手続きを進めるという市のやり方は間違っています。市民感情が許しません。道義的に考えて到底認めることはできません。このようなことを認めるならば、行政がゆがめられ何でもあり、底なしの腐敗へと進んでいくでしょう。

芦名地区漁港のこの数年間の動きは本市の事務執行、行政手続きの面から見ても不透明であり非常に不可解です。主導権者はいったい誰なのかと言いたい。市はみなとの管理を市民から任されているということを肝に銘じていただきたい。私たちは今回の芦名5号防波堤の有償譲渡で表面化した市の対応には極めて疑義を感じています。この問題は到底看過できず認めることはできません。議案第104号特別会計公債管理費補正予算についても関連していますのであわせて反対いたします。

以上で、日本共産党の議案第107号については賛成の立場で、議案第103号、104号、106号は反対の立場での討論といたします。

―――――決算議案に対する討論(10月5日)ーーーーー

日本共産党の大村洋子です。

お時間をいただきまして、会派を代表して2020年度決算審査に対する意見を述べます。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大が顕著となり1年間を通じて施策・事業の多くに影響が出ました。最前線の医療、保健所、救急部門のご努力に敬意を表します。また、ごみの収集、窓口業務、インフラの維持管理等、さらには、様々な市の施策・事業の延期、中止の采配等、市役所を挙げての市民生活継続のための有形無形のご努力にも思いをはせるところです。他都市では市職員に多くの感染者を出し、ごみの収集が出来なくなったということも聞きます。当たり前に日々の生活が続けられる有難さを感じるところです。すべての市役所職員のみなさんに改めて感謝申し上げます。

はじめに賛成の立場から意見を述べます。上下水道局に関する議案第121号と議案第122号についてです。

2020年度は上下水道局事業マスタープランの審議スタートの年でした。当初、新型コロナの影響で審議会自体が書面会議で進行されたのは残念ではありましたが、その後のオンライン会議においては基本水量の見直しが提案され、今後本格的に検討されていく運びとなっています。中長期の視野に立った施設のダウンサイジング、広域化や民営化の流れの中で、経営的観点から安易な料金・使用料の値上げは避けてほしいと指摘しておきます。コロナで生活困窮に陥った世帯に対して支払い猶予施策を展開したことは評価いたします。生活環境分科会における質疑では2020年度の申請件数は262件とのことでした。引き続き丁寧な相談と弾力的な支払い猶予に対応していただきたい旨を申し述べて賛成いたします。

次に反対の立場から意見を述べます。はじめに議案第114号一般会計歳入歳出決算についてです。

2020年8月に、福祉援護センターかがみ田苑関係者から私たちへ情報提供があり、指導監査課による指定管理者への実地指導が行われ、一部の事業での不適切な運営実態が明らかになりました。3月予算議会の一般報告に続き、今定例議会、教育福祉分科会でも障害福祉サービスに係る報酬の返還と指定管理料の返還についての報告がありました。なぜこのような事態となったのか、なぜ長期間に渡り不適切な運営が野放しにされたのか、原因究明と再発防止の徹底は必至です。審査のなかで、理事者側から「市の監視管理が甘かった部分がある」旨の答弁がありましたが、私たちはこの施設に限らず指定管理者制度で行われている施設全体をこの際、確認する必要があると感じています。かがみ田苑は氷山の一角ではないかとの思いが拭えない、これが本音です。

次に基地対策についてです。コロナの影響があったとはいえ、住民の安全安心につながる基地周辺の町内会とともに行うパトロールが減少したことは対策の後退です。また2020年度で最も顕著だったのは神奈川県基地関係県市連絡協議会を退会したことです。些細なことでも米軍からは連絡が来ると言いますが、実際には米軍がPCR検査の結果判明前に横須賀市内の民間宿泊施設を待機場所として利用していたことが露呈し、本市の頭越しに防衛省と米軍のみでことを進めていたことが明らかとなりました。日米地位協定の詳細は日米合同委員会という国民からは何一つ見えない閉ざされた中で決められています。だからこそ基地関係の自治体が県市協でまとまって要請行動を起こすことが最も効果的であるにもかかわらず、本市は退会してしまいました。これは計り知れない損失です。独自で進めるなどということは非現実的で、いま述べたように本市の頭越しに国と米軍の勝手がまかり通っているのが現実です。直ちに県市協に再加入するべきです。

2020年度は新ごみ処理施設(エコミル)が本格稼働した年でもありました。本市は国より厳しい自主基準値を設けたと言っていましたが、残念ながら、一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物の濃度であわせて5回も自主基準値を上回りました。ゴミ投入設備の不具合、アンモニア供給設備の不具合、苛性ソーダ供給設備の不具合が原因とのことですが、おおもとのところからの振り返りも必要ではないかと考えます。すなわち、廃プラスチック焼却の影響についてです。今後も安定的に稼働できるように注視してまいります。

次にいわゆるマイナンバーカードのシステム業務についてです。私たちはマイナンバー制度自体を認めていませんが、自治体に導入される際に国からシステムの維持管理等は国庫支出金で賄われるとの説明があったはずです。しかし、制度が始まれば、あとは自治体に押し付けられた格好となり、今回の決算審査においてもシステム開発にかかわる本市の多額の支出が明らかとなりました。このようなやり方は到底みとめることはできません。

みなと振興部の種々の施策についても触れなければなりません。過日、補正予算の討論でも述べた芦名5号防波堤の有償譲渡問題にも関連する内容です。私は昨年都市整備常任委員会に属し、芦名地区漁港に関連する陳情の審査において質疑を交わす中で、明らかにみなと振興部はマリーナ事業者の許可のない杭打ちに対してみて見ぬふりをしていると感じました。マリーナ事業者に猶予を与えマンション住民と円満に事を解決してほしいとの配慮だったとは思いますが、結果、それは裏目に出ました。このような行政の振る舞いは到底認められるものではありません。加えて、みなと振興部には天然記念物をはじめ海の環境を守る姿勢が希薄です。また、フェリー就航を巡っての近隣住民や既存事業者との合意形成、手続きの丁寧さが問題となったのも2020年でした。既存事業者との間では今年7月に基本合意がされましたが、本来このようなお互いの大事な確認事項は記者会見の前に行われるべきでした。第2の開国への「スピード感」に奔走するあまり独りよがりに事を端折り過ぎました。市は今回の騒動に対して襟を正し教訓とするべきと思います。

次に議案115号国民健康保険費と議案117号介護保険費及び議案120号後期高齢者医療費についてです。コロナ禍で営業規制や外出自粛の影響により所得が減少した世帯では、国保料や介護保険料の負担はより重くのしかかりました。特に国保の均等割はこどもの数が多いほど家計に響き、子育て支援の観点からも時代と逆行することをこれまでも指摘してきたところです。

また、介護現場では、感染をおそれながらも利用者のために必死で取り組む介護従事者の切実な声や、十分なサービスの提供が受けられない利用者側の深刻な声が寄せられた年でもありました。そのような中で後期高齢者医療保険料が引き上げされた年であり、国と県に対して、実情に見合った制度改正が求められます。国保、介護、後期高齢者医療はどれもコロナ禍にあって減免や支払いの猶予を行ってきたことは承知しているところですが、予算時に反対しているところであり、変わらぬ執行であることを考え不認定とします。

次に議案123号病院事業会計決算についてです。

市民病院の呼吸器内科の常勤医師確保が出来ないことが、2020年12月に発覚しました。市民病院は新型コロナウイルス感染症対策の最前線で必死に頑張って対応しており、市民にとって頼りになる公立病院ですが、指定管理者である地域医療振興協会と市との情報共有に課題があり十分な連携がとれていないということが明らかになりました。医師確保の問題は市からではなく患者さんから私たちは情報提供されました。このこと自体が問題です。

市は2020年度3月定例議会の一般報告で「一日も早い医師の確保に努めてまいります」と明言しましたが、いまだに診療体制が戻る見込みはありません。

私たち日本共産党市議団は市立2病院の指定管理者制度の移行自体に、当初から反対の立場でした。昨年10月6日の決算議案に対する討論のなかでも、指定管理者制度の限界があることを予見し、さらに「指定管理者に任せきりにすることなく、行政としての役割を発揮して、緊張感のある指定管理者との関係性構築の必要性」を議場で訴えました。にもかかわらずこのような事態を招いたことは、基本的な業務執行力が低下したと言わざるをえません。

よって不認定といたします。

今回の決算審査ではかがみ田苑の不適切な運営や市民病院呼吸器内科の縮小を通して指定管理者の弊害が明らかとなりました。行政サービスの質そのものの低下はもとより、課題への改善と対応に時間と労力と費用が発生しました。指定管理者制度のメリットの一つと言われるコスト削減の効果がなく、むしろ後始末的な業務処理による非効率な側面が露呈しました。小手先の解決策では、同様のことが今後も再発するでしょう。民間のノウハウを生かしたより良いサービスの向上どころか、低下を招いた結果責任を重く受け止めるべきと指摘します。

最後に議案第124号猿島公園トイレ新築工事請負契約の締結についてです。この事業は猿島公園の桟橋付近に女性用トイレ6基、男性用トイレ2基みんなのトイレ1基、それぞれのエリアにおむつ交換台を1台ずつ計3台設置のトイレ棟を新設するというものです。この事業が出された際、猿島公園の年間来園者が年を追うごとに増え、ピーク時には20万人以上という説明がありました。しかし、当時は新型コロナ感染拡大以前であり、しかも大きなイベントを見込んでの数字であったと思います。今後も引き続き猿島の来園者は一程度あるにせよ、ピーク時のようなトイレ待ちに長蛇の列ということが常態化するでしょうか。今、既に設置されているトイレとピーク時対応の仮設トイレで事足りると考えます。また、当初の予算見積もりでは約3億円とのことでしたが、資機材運搬費は台船の種類、回数の見直しで約4,000万円の減、浄化システム仮設工の見直しで約2,000万円の減、地盤改良の設計数量の精査で約1,000万円の減で、合計約7,000万円の減額となり、結果請負代金額は2億2,880万円となりました。いくら類例のない工事だといっても、これほど差額が出る工事は過去に記憶がありません。見積もりが甘すぎたと言わざるをえません。

私たちは猿島公園トイレ棟新設はコロナ禍の今、急ぐ施策だと考えていません。したがって、この議案に反対を表明します。

以上、第121号、122号には賛成の立場で、第114号、115号、117号、120号、123号、124号には反対の立場での日本共産党の討論といたします。


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