日本共産党横須賀市議団

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議会での発言
2023年10月4日

2022年度決算について討論を行いました

 2023年10月4日に行われた9月定例議会本会議で、井坂直議員は日本共産党を代表して2022年度決算議案のうち、7議案について反対の立場から討論を行いました。 

議案第93号 一般会計歳入歳出決算について

 令和4年度は猿島公園のトイレ建設が行われた年でした。私たちはコロナの収束のきざしも見えないなかで、総額約3億円のトイレ建設そのものに反対を表明してきました。その後、設計を経て約7000万円が減額されましたが、実際に工事を始めると想定外の予算が必要となり、結局、約5100万円が増額される事態となりました。

 令和4年2月に大村洋子議員が市長と質疑を交わし、調査不足や、関連部所同士の連携よりもスピード感に傾斜したことが見積もりの甘さなどを招く結果となったと厳しく指摘しましたが、設計や工事業者との連携や、庁内の技術的な力量も問われた問題であったことは、忘れてはいけない教訓です。

 長引くコロナ禍のもとで市民の生活は厳しさを増していて、多額の税金を投じてまでトイレ工事を優先したことは市民ニーズに即したとはいい難く、認めるわけにはいきません。

新規ふ頭計画について

 スピード感重視による弊害は、新規ふ頭整備第2突堤の計画見込みの甘さにもあらわれました。

 令和4年9月6日に市長は臨時記者会見を開き、埠頭整備に必要な19.3ヘクタールの面積を整備するのに必要な300万リューベの土砂が見込めないことを発表しました。

 この記者会見において、国や県、大型の公共工事を行っている事業者にヒアリングを行わず、推定で計画を出していたということがわかりました。記者からの「これだけ大きなプロジェクトにもかかわらずヒアリングを行わず、結構はっきりした段階になり、集まりませんというのはさすがにどうかと思うのですが」という質問に、市長は「おっしゃる通りであり、お恥ずかしいかぎりです」と答えるしかありませんでした。

 なぜこのようなずさんな計画で巨額の予算が動くプロジェクトを発表し進めようとしたのでしょうか。上地市政の施策推進の基盤自体を再度点検する必要があるのではないでしょうか。

 昨年は事実上、港湾部がありませんでした。建設部の中に港湾担当として設置され、これで国土交通省や神奈川県、民間企業との調整が十分に展開できたのでしょうか。今年度になり港湾部として復活しましたが、私たちはこのような港湾行政の右往左往ぶりを見るにつけ、庁内の組織体制そのものについても併せて総括が必要であり、最高責任者である市長の姿勢が問われていることを指摘します。

青少年の家・公園プールの廃止

 施設のありかたについても問われています。令和4年度には市内各所で青少年の家廃止に係る説明会が行われました。

 私たちは一般質問等で何度も取り上げてくる中で、利用者のご意見をしっかりと聞き取り丁寧な説明をお願いしてきましたが、残念ながらそのような対応をしていただけませんでした。利用者が代替施設を具体的に提案し動いている施設もありますが、総じて説明会で出された参加者からの質問・要望に的確に応えられてはいませんでした。

 公園プールについては令和4年度に各地域で説明を行ったというこれまで議会側に示してきた資料に誤りがあり、実際には令和3年度にしか説明を行っていないことが決算審査で明らかになりました。

 庁内の課をまたがった連携や調整についても、これでは不十分と言わざるを得ません。何より、廃止ありきで建て替えという選択肢を切り捨てた進め方には納得できません。

 FM戦略プランについては、当初の公募市民や学識経験者の入った「検討委員会」、市長、副市長、部長で構成された「公共施設マネジメント戦略会議」市議会に創設された「審査特別委員会」でそれぞれ熟慮を重ねてきた経緯があります。

 「総論賛成・各論反対」となりがちな内容ですが、硬直した考え方を推し進めるのではなく、実際に利用している市民のご意見をうかがう中で柔軟に対応していくことがまちづくりという本来のFM戦略プランの目的だと考えます。前市長の失敗の教訓が生かしきれずに進んでいる感があり、改めて市民協働の視点を取り入れる必要があることを訴えます。

教育環境整備計画について

 教育委員会は令和4年度に「教育環境の整備に係る地域別協議会」を2箇所設置することを目標にし、田浦中学校区と馬堀中学校区の2箇所に設置をしました。

 少子化や校舎の老朽化などの課題に対応するために、本来、保護者や児童、地域住民からたくさんの意見や知見が必要とされますが、意見集約が不十分だったのではないかと思います。結果的に、田浦小学校と走水小学校の廃止を方策案1とした形で議論が進められています。

 持続可能な教育とは何か、そのために何が必要か、そのことを市民の皆さん、とりわけ対象地域の皆さんと存分に議論しあい、まずは意見や認識を共有することが必要だったのではないでしょうか。今からでもそのような協議会の方向性にしていくことができますし、令和4年度の進め方については反省するべきところは、改善を図ることを望みます。

ゼロカーボン政策について

 今年の夏はもっとも暑かったと言われていますが、令和4年の夏も猛暑日が続き、異常な暑さでした。節電要請が国から出され、8月の暑い中、庁舎エレベーターも節電のため一部稼働停止にする事態でした。

 省エネと節電・再エネ普及と電力自給が課題ですが、令和3年にゼロカーボンシティ宣言をした本市としては、その後のゼロカーボン施策を軌道に乗せて、具体な施策の展開が期待される年でした。

 実際に市内の小中学校や行政センター9カ所に、太陽光パネルと蓄電池の設置が公表されましたが、まだまだ弱いと言わざるを得ません。民間企業だけでなく全国の自治体にも高い環境意識と実践が求められています。

 一方で、令和4年8月に久里浜の石炭火力発電所の試運転が始まりました。年間726万トンものC02を排出するにあたり、どれだけのゼロカーボン施策を進めれば実質ゼロになるのでしょうか。

 石炭火力発電におけるアンモニア混焼や専焼を進めるJERAの方針を疑いもなく信じ込んでいることはもはや許されない、それが世界水準です。市長にはCO2削減、地球温暖化対策の本気度が求められていることを改めて訴え、再エネ促進と省エネの取り組みをさらに進めることに期待します。

自衛官募集業務・元首相記帳所・半旗掲揚

 令和4年は2月にロシアによるウクライナ侵略が始まり、国際社会の平和が脅かされた年でもあります。この年は、日米の基地機能強化がますます具体化され、国の動きに対して自治体がどのような態度をとるかも問われた年でした。

 自衛官募集のための個人情報提供業務を行った点についても認めることは出来ません。また、安倍晋三元首相がお亡くなりになったことから設置した記帳所については、個人情報の管理があいまいであったこと、半旗掲揚についても市議会の旗まで合意形成がなく、市長部局が対応したことは、二元代表制の観点から、あるべき姿とは言い難く、これらは問題であったことを指摘しておきます。

マイナンバーシステム市費負担

 分科会における審査で本市のマイナンバーシステムの維持管理費に年間4200万円ほどの市費負担が生じていたことが分かりました。恒久的に自治体負担がかかることにつながるものであり、容認できません。本来であれば国が進めるマイナンバー政策であり、全額国費にするのが道理なはずです。引き続き是正を求める必要があります。

 以上の主な理由から、議案第93号一般会計歳入歳出決算を認めることはできません。

議案第94号 国民健康保険費について

 国民健康保険費については、予算審査時に前年度から担当職員を4名減らしたことを指摘しましたが、決算資料を確認したところそのまま執行されていることと、この間、問題となっているマイナ保険証を市としても国のいうままに進めてきたことから、不認定とします。

議案第96号 介護保険費について

 介護保険費については、物価高などで家計が厳しいなかで、基準となる第6段階で月5,500円から5,800円へと保険料が引き上げられたことは予算審査時に指摘した通りで、認定することはできません。

議案第99号 後期高齢者医療費について

 令和4年度10月から、一定以上の所得がある方の窓口での支払い負担が2割となりました。これは国が決めたことであり、市としてはいかんともしがたい問題ではあるにせよ、後期高齢者の受診控えが懸念されることから、国への抗議の意味も込めて不認定といたします。

議案第100号 水道事業会計・議案第101号 下水道事業会計について

 私たちは今年度からの料金体系見直しに反対の立場を表明しています。この計画を進めてきた令和4年度決算ですから、経営努力は認めつつも認めることはできません。

 加えて決算審査の際に不明水量の料金、使用料の徴収についても質疑を交わし、上下水道局は他都市の状況を研究するとのことですから、引き続き注視していくことを申し添えます。

議案第102号 病院事業会計について

 市立2病院の医師不足が依然として続いています。看護師については定着率が課題です。うわまち病院の移転準備も進められているところですが、スタッフの確保については引き続きの尽力をお願いします。

 令和4年は指定管理者の地域医療振興協会と本市の連絡の希薄も浮かび上がりました。 具体的には医療費支払い窓口のシステムエラーが起こった際に本市へ連絡がなかったことがわかりました。指定管理者制度となり久しいですが、あくまでも横須賀市の病院ですので、本市が主体的に、うわまち病院・市民病院の方針をしっかりもって指定管理者を指導していただきたいと思います。以上の点から不認定といたします。


 決算の認定は「確認行為」と言われています。令和4年度の予算執行、横須賀市の仕事ぶりが公平で適切であったか、違法や不正行為など誤りはなかったか、見込みどおりの成果が表れたかなどをチェックしたうえで、結果として市民の暮らしぶりは良くなったのか、コロナが収束しきれずに物価高騰が続くなかで生活を支える取り組みが十分だったか、ここが今回の決算審査における私たちの基本的な主眼でした。

 今回の決算審査における提言や指摘を、これから行う来年度の予算編成に生かしていただきたいことを最後に述べて、日本共産党の討論とします。


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